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アポイ岳の再生とヒダカソウの運命は...

ヒダカソウはアポイ岳の固有種である。

100523apoi20.jpg



学名はCallianthemum miyabeanum

キンポウゲ科キタダケソウ属の多年草で
北岳のキタダケソウ、崕山のキリギシソウが同じ仲間。

環境省のレッドリストのカテゴリーは絶滅危惧ⅠA類(CR)
「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性がきわめて高い」
となっている。




今年は幌満お花畑の登山道脇で、2~3年前まで咲いていた個体は
とうとう咲かなくなり、開花は見られなくなった。




小さな葉のみしか出ず、脇にある個体調査のためのプレートもどこか寂しそう。

100523apoi11.jpg



アポイ岳ファンクラブのTさんが小さくなったヒダカソウの葉を示しながら語った。

100523apoi10.jpg



「かつて大量盗掘で花が失われた後、パトロールなど保護を徹底し、監視カメラも導入しました。
そうすればまた増えるだろうと思っていました。目立った盗掘は減りましたが、
逆に衰退し、大きな株もどんどん小さくなって消えています」



「まず、温暖化を疑いました、正確な因果関係などはまだしっかりと解明されてない部分が多いものの、
浦河観測所の気象データからも平均気温が上がり、雪解けが早くなり、高山植物を
多くはぐくむお花畑が、周囲から勢いを増したハイマツなど樹林に圧倒されつつあるのは事実です」



そこで新旧対比ということで見比べてみた

100523apoi9.jpg



この幌満お花畑のかつての写真がこちらである

100523apoi15.jpg

1968年5月撮影 写真=アポイ岳ファンクラブ






42年後の 2010年5月22日撮影 

100523apoi8.jpg

ハイマツの勢いが増してきているのがわかる。



アポイ岳の植生図で見てみる。
kazがまとめた「岳人別冊春山2009 日高・アポイ岳の高山植物を守る」より当該図のみ引用したい。

100523apoi.jpg



こちらは1959年と1988年、約30年間でこれだけお花畑が減少した。
現在はこれよりさらに減少しているだろう。


もともと標高わずか810mという、本来であれば樹林帯の標高だが、
かんらん岩という植物が生育しにくい地質ゆえ、


山頂の周辺は樹林帯とならず、高山草原の植生となっていたが、ここ最近で
まるでそのバリアーが壊れるように、急速に環境が変化している。



ヒダカソウがいかに減少しているかは、アポイ岳登山の時に携行すると便利な図鑑
「アポイ岳の高山植物と山草」...アポイ岳ファンクラブ発行

の中表紙を見ればわかる。

100523apoi2.jpg



正確な場所は特定できないが、おそらく幌満お花畑の縁ではないかとのこと。

現在はヒダカソウは咲かず岩礫平原のような印象だ。

100523apoi12.jpg

※正確な同一場所での比較ではありません。




一方これに対し、「花のアポイを取り戻そう」という動きも始動している。

アポイ岳で研究を続ける高山植物研究の第一人者である、
静岡大学の増沢教授のもとアポイ岳ファンクラブのメンバーが
「アポイ岳再生プロジェクト」を立ち上げた。


具体的にはハイマツなど樹木を除去し、お花畑に戻すということだが
実際にはそう簡単ではなく、しっかりと学術データを積み重ねる必要があるという。



そのため特別天然記念物の指定エリアから外れた一角で再生実験を行っているという。

100523apoi7.jpg

かつてお花畑だった場所に入り込んだササと樹木を除去し、
人工的にお花畑の環境を作っている。


サマニユキワリが芽生えていた。

100523apoi6.jpg

ちなみに柵があるのはシカによる食害を防ぐという目的からだ。

最近はシカによる食害も激しく、5合目までのササは多く食べられ

100523apoi5.jpg




シカが食べないエゾオオサクラソウなどは逆に増えているという。

100522apoi1.jpg

以前、ヒダカソウの自生地である幌満お花畑でもシカの糞を見たほどだ。




しかし個人的にはヒダカソウの場合、



もう個体数がごくわずかまで減少して、
しかも開花、結実しないのだから


もうこのままでは「絶滅」は免れず、
「生育地外保全」も平行して計るべき時にさしかかっている
と感じる。



具体的には環境省の「種の保存法」による
「国内希少野生動植物種」の指定が望ましいのではないだろうか。



現在の国レベルでの指定は、レッドリストのみで、これは法的な拘束力が
あまりない。種の保存法なら「保護増殖事業」が用意されている。


参考HP:
種の保存法による国内希少野生動植物種のリスト

※植物では現在、23種指定。主な高山植物ではキタダケソウ、ホテイアツモリ、レブンアツモリソウ、アツモリソウ、チョウセンキバナノアツモリソウなどが指定されている。


佐渡のトキのように、国の予算をしっかりと組んで、保護増殖センターのような施設を設けて、
事業化し、アポイ岳の再生が動き出すまでなんとか絶滅させないでほしい
と感じる。



2006年に訪れた時はまだヒダカソウの開花が見られた。



わずか4年で見られなくなるなど、
確実にヒダカソウを取り巻く状況は悪化しているようだ。

もう、待ったなしの状況だと言える


個人的にはキタダケソウは種の保存法に指定されて
保護増殖事業の対象となっているが、現在、盗掘もなくなり

自生地で個体群は比較的安定しているのではないだろうか。
※シカ食害など今後起こりうる影響を除けば


しかしヒダカソウこそ差し迫った危機的ば状態で、
十分保護増殖事業を行うに値すると思う。



そして再びかつてのようにアポイの山で元気に咲く姿をと見てみたいものだと感じる。

100523apoi21.jpg


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テーマ:生物学、生態学 - ジャンル:学問・文化・芸術

18 : 10 : 44 | 希少植物保護問題 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
種の保存
3000mの標高があるとはいえ登山道脇で比較的簡単に見ることができるキタダケソウが種の保存法指定で、ほとんど見られなくなっているヒダカソウが指定されてないというのは歯がゆい思いですね。
やはり地元時自体がもっと訴えないと駄目なのでしょうか?

それにしても中表紙の群落写真は見事ですね! こういう群生を見てみたかったです。
by: てばまる * 2010/05/27 10:08 * URL [ 編集] | page top↑
Re:
4日間山で不在だったのでコメントの確認が遅れました。

地元は大きいと思います。なんだかんだで環境省が指定するのですが、地元の願いが一番届きやすいと思いますので。

仮に現状のままだと悲観的な運命にあるといえそうですが、

きっと何とか回避してくれると信じています。再生を夢見て!
by: kaz * 2010/05/30 23:52 * URL [ 編集] | page top↑
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
by: * 2014/05/07 13:32 * [ 編集] | page top↑

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