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盗掘されたタカネマンテマ

今回はタカネマンテマの盗掘に関する記事です。


日本高山植物保護協会の会報(70号=2013.1.1号)
によせた文章を転載します。


非常に悲しく、憤りを感じた出来事でもありました。



日本高山植物保護協会(JAFPA)


2012年7月20日、私は北岳に登っていた。以前見た登山道脇にあるタカネマンテマを確認しようとしたが、確かにあった登山道脇の岩陰に姿形もなかった。タカネマンテマは日本では南アルプスしか分布がなく、個体数も少ない希少種だ。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類という最高ランクの絶滅危惧種に区分されている。
 

 その見事な株は2005年の8月上旬に撮影して、その写真を図鑑(「高山植物ハンディ図鑑」小学館)にも使った思い出の株だった。図鑑を取り出して背景の岩と照合したところ、土ごと剥がして盗掘したらしく、岩に失った土の面のラインが残っていた。周辺には6年前は他にも複数個体を確認したが、全く一株も見当たらなかった。


 その日は「国際自然環境アウトドア専門学校」の高山植物の講師役として、学生に高山植物の生態と、保護についても教えていたが、学生もまさに「希少種の盗掘問題」を肌で感じたようだ。


 タカネマンテマは決してキタダケソウほど有名ではなかったけど、よく知られ、毎年見るのを楽しみにしていた登山者も多かったと思う。「姿形がユニークだから珍品目的のマニアや業者から盗掘の対象となりやすい」と聞いていたが、実際に目の当たりにしてとても悲しかった。

 「タカネマンテマは南アルプスの高山植物の分布の特異性を示す貴重な種です。その分布自体が地球の歴史そのものであり、盗掘は許されない」と南アルプスを拠点に高山植物の研究を続ける静岡大学の増沢教授が以前力説していた。大切な国民の共有財産が盗られていく。。。

  盗掘の対象となりやすい種はキタダケソウのような花が美しいものもあるが、いわゆる「珍品」とされ、花は一見地味かもしれないが、分布や個体数が限られた珍しい種も多い。このタカネマンテマはとてもユニークな形の花だ。提灯のように膨らんだ姿は一見すると花には見えないが、この部分はがくが膨らんだもの。その先端にある小さなピンク色が花弁で花の構造の神秘ささえも感じる。


 実は北極圏から日本列島に渡った貴重な生き残りの種でもある。私は以前スウェーデンの北極圏でそっくりの種を見たことがあるが、ずっと昔の氷河期の頃、陸続きとなった大陸から日本列島にまで分布を広げた歴史をもつ。その種が北海道にもなく、東北から北アルプスにかけても見られず、南アルプスだけに残っているのは、山脈の地質の古さ、特殊さからだろうか。世界遺産登録を目指す南アルプスにとっても貴重な財産であるはずだ。


 環境省は南アルプスではキタダケソウは知名度も高いこともあり、保護対策、啓蒙活動、監視体制を強化して臨んでいる結果、近年は個体数が安定している。しかし守るべき対象はキタダケソウだけではない。本種はキタダケソウよりも危機的と言える。今後の保護監視政策の見直しが求められていると改めて感じた。



さて写真ですが、

こちらが図鑑用に撮影した写真 2005年8月2日撮影

130111takanemantema.jpg


赤く囲った線、岩のパターンに注目






こちらが図鑑の写真、同じ株の撮影です。

130111takanemantema2.jpg


※「高山植物ハンディ図鑑」新井和也著 2009年小学館 発行






こちらが2012年7月20日の撮影

130111takanemantema3-9004.jpg


なんと、まったく無くなっていて、
うっすらと土ごとはがされた跡のみありました。。。




もう、分かっているかと思います。
タカネマンテマは北極圏から渡ってきた貴重な生き残り。



日本では南アルプスにわずかしか分布がありません。
この分布自体が奇跡であり、地球の歴史そのものでもあります。


人為的に絶滅に追い込まれて良いのでしょうか?


タカネマンテマの保護対策を強化してほしいです。
監視カメラとか抜本的な対策を。



盗掘には厳罰の罰則を設け、
啓蒙を強化し、タカネマンテマを盗むということは
重大な犯罪になるということを。


本当にもう絶滅寸前なのです。


何もしないで指をくわえて見て無くなるよりは
立ち上がった方がきっと何かが変わるはずだと思います。





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テーマ:生物学、生態学 - ジャンル:学問・文化・芸術

01 : 47 : 24 | 希少植物保護問題 | トラックバック(0) | コメント(6) | page top↑
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コメント
そこにしか咲かないからこそ美しいんだと思う!
KAZさん

北極圏から北海道を飛び越えて渡ってきた「タカネマンテマ」
ってたくましいですね
希少な植物であることもKAZさんの話しで良く理解できました
そんな植物を持ち帰る者が居るなんて許せないですね!

その人がもし、このような希少な植物である事を知ってたら・・・
KAZさんの記事を読んだりで居たら・・・
静岡大学の増沢教授の話しや、KAZさんの講義を聞いて居たら・・・
持ち帰らずに、そっと見守っていたたと信じたいです。

マニアや業者の盗掘や、それを購入した者には、きっと天罰がくだるでしょう!

その場所にしか咲かない花だからこそ美しいのだから。
by: べべべ * 2013/01/13 00:41 * URL [ 編集] | page top↑
Re:
べべべさん。

「盗掘」というのは昔から根深く、例えば南アルプスに分布し、アツモリソウよりもさらに希少価値があり、価格も高いホテイアツモリなどはほとんど「確信犯」なんですね。最後の一株であろうと容赦なく盗られ、絶滅状態になってしまいました。もっとも気候が違う東京などで植えても2~3年で絶えてしまいますね。

。そこに咲いていれば、将来確実に生き存え、その間、登山者に愛でられひとときの疲れを癒してくれる「公共の財産」であるはずなのに。

これも珍品目的の「確信犯」ですね。


でも、種の絶滅を招きかねない行為に対し、さらに法規制が強化されると信じています。

このタカネマンテマという種は
by: kaz * 2013/01/13 06:48 * URL [ 編集] | page top↑
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2013/01/13 14:55 * [ 編集] | page top↑
残念です・・・
これはホントに憤りを感じますね!
まったく許させない行為です。
こういう輩は、必ず誰かに自慢したがりますから、野草展やネットなどの監視をもつと強化して取り締まるべきでしょう。

日本でも森林保安官のような逮捕権限をもった組織を作るべきだと思います。巡回も強化してほしいです。

前々から思ってましたが、盗掘の時は土ごと持って行くでしょうから根元に小さなチップを埋め込んで、GPSで追跡出来るようにするとか、動いた形跡が出たら、山小屋や管理事務局に即座に情報が行き、登山口で全員チェックを掛けるとかするシステムも有効かと思います。

今年は見に行こうと思っていたので残念です・・・。
by: てばまる * 2013/01/14 21:09 * URL [ 編集] | page top↑
Re:
てばまる様。

それにしても多くの方々がタカネマンテマについて関心を寄せているようですね。

それだけ皆さんも衝撃的だということでしょうね。

ネット流通の監視は是非とも行ってほしいですね。オークションに違法な動植物が検索で引っかかったらすぐに通報されるようなシステムがほしいところです。


アメリカでは国立公園のレンジャーが逮捕する権限まであります。

まず、希少種には監視カメラが有効ですね。なにしろ24時間監視体制で、証拠も残る訳ですから。

礼文島では最近新しいレブンアツモリソウの分布エリアに設置されていましたが、装置の普及、改良にともない費用的にもだいぶ安くなり今は数万円程度です。

もっとも「どうしてもこの株は保護したい」という場合、遺伝子マーカーという方法もあり、この場合株単位で個体識別が可能であり、万一、盗られ違法流通していても、鑑定でシロクロが判定できるようですね。

本当にこのままでは絶滅してしまうだけに、こちらもなんとか関係機関に報告を考えているところであります。
by: kaz * 2013/01/14 22:07 * URL [ 編集] | page top↑
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このコメントは管理者の承認待ちです
by: * 2013/12/13 17:48 * [ 編集] | page top↑

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